ロシアにおける拡大生産者責任に対する新しいアプローチ

Russia
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2020年末、ロシア政府当局は、拡大生産者責任の概念を改善する構想(以下、「本概念」 )を承認した。

本概念は、本概念の実施に必要とされる法令がいつ承認されるか次第で、ロシアにおける商品および梱包材の生産者及び輸入者(以下、「生産者」)の業務に短期的効果をすでにあげているはずであった。

背景

拡大生産者責任(以下、「EPR」)は、認可基準に従い中古の商品および梱包材の再資源化を保証する生産者間の義務を生じさせる廃棄物管理規制機構に言及している。

ロシアにおいて、EPR機構は2015年に導入された。生産者が中古の商品および梱包材から生じた廃棄物を再資源化する自己の施設を組織するか、リサイクル専門業者と適切な契約を直接締結するか、または、生産者によって創設された組合に参加することによるものと予測されていた。生産者は、再資源化基準の履行に関する年次報告を通してこれらの義務の遵守を裏付けなくてはならない。

しかしながら、実際、ロシアにおいて導入されたEPR機構は、計画通りには遂行されなかった。実施から5年間、廃棄物再資源化施設数は顕著に増加することもなければ、再循環能力の増加も見られない。報告量は、しばしば、実際の再資源化量に対応していなかった。適切な管理規制の欠如(このことを本概念は、率直に認めている)および環境手数料の低徴収とともに、このことは、政府に、EPRの規制に対する既存のアプローチの改定を促した。

本概念の主な対策

本概念は、上記問題を解決することを意図している。

特に、本概念は、EPR機構を改善するため、以下の、基本方策を提案している。

  • 廃棄物の再生利用を保証する活動を監視・規制するための特別情報システム及び登録簿の作成
  • 生産者が、再資源化施設を保有しない場合、生産者が、組合への参加による廃棄物再資源化義務の履行を不可能とする
  • 2022年1月1日以降、完全に再資源化されるべき梱包材を除き、すべての種類の商品の再資源化率を漸増(少なくとも年10%)
  • 廃棄物再資源化仕様を考慮して、2022年1月1日以降、環境料金を改定
  • 生産者が自己の資源による再資源化の履行を奨励するため、二重料金基準に基づき、環境手数料を算出
  • 中古の商品および梱包材から生じる廃棄物の再生利用を奨励するため様々な対策を講ずること(たとえば、国家支援策、特恵公的調達、廃棄物販売の際、個人の所得税を解除等)

本概念の実施の第一段階は、適切な法規制の枠組を策定することである。2021年1月、ロシア連邦下院に、連邦法草案*が提出された。これは、生産者に、梱包廃棄物のすべての再資源化を義務付けるものである。近い将来、本概念の規定を履行する他の法案が提出、審議されることが期待できるであろう。

コメント

本概念に見られるEPR規制への新しいアプローチは疑いもなくロシアにおいて操業するすべての生産者に大きな影響を与えるであろう。

例えば、2022年1月1日にむけて発表された、すべての梱包廃棄物の再資源化への推移-本年中に改定されない場合-環境手数料への支払いの増大を導くことになるであろう。これは、現在の状況において、本再資源化要件の遵守の達成が困難であるからのようである。

生産者は、中古の商品および梱包材から生ずる廃棄物の再資源化の最も望ましい手段を評価し、選択すべきである。以下のいずれかに決定することになるはずである。

  • 自己処理能力を創出
  • 再資源化企業との契約を締結
  • 環境料の支払い

ロシアにおける廃棄物管理における好機に関するさらに詳しい情報については、CMSロシアのいつものご担当にお問い合わせください。

* ロシア語

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