株主活動に関するロシア税務当局の監視の強化

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2021年2月12日、連邦税務局は、公式文書第No. ShYu-4-13/1749@号*(以下本「文書」)においてグループ内役務提供に対する課税に関する規則を明確にした。本文書は、株主活動を構成するものが何であるかを定義している。また、多国籍グループ企業(以下「MGC」)内でのグループ内役務の規定と株主活動を区別する特別の基準も定めている。

株主活動の条件

本文書並びに本件に関するロシア税務当局により以前に公表された説明*によると、税控除目的でMGC内で提供されたグループ内役務提供の経済的正当性評価の際、税務当局は、株主活動とこれらの役務を第一に区別すべきである。

株主活動は、子会社への投資をコントロールし、戦略的経営・計画活動を通して、MGCがその目的(事業収益の拡大、リスク緩和等)の達成を実現するためのMGCの受益所有者の要求(必要)により操作されている。

株主活動は、全体としてのMGC、または、MGCを形成する特定の運用(たとえば、事業)区分を目的とするであろう。

そのような株主活動は、MGCの最終親会社、または、株主活動を行う正当な権限を付与されたMGCの一部を構成するその他の会社によって行われるであろう。しかしながら、分析された役務が、当該役務から利益を受けている会社の株主によって提供されているという事実だけでは、自動的に株主活動としての要件となるわけではない。

本文書において示された株主活動基準を満たす要件は下記のとおりである。 

  • 株主活動が、株主の経済的必要性により、操作されており、MGCにおける別個の参加者(非関連者)の経済的必要性によるものではないこと。 
  • 当該活動が、MGC全体(または、MGCの運営(たとえば、事業)区分を利するものであり、別個の参加者(非関連者)を利するものではないこと。
  • MGCへの参加者(の関連者)が、特定の役務についての相手方当事者を選択できる場合であっても、同様の役務を第三者から受けることも、独立して当該活動も行わないこと。

連邦税務局は、また、グループ内役務提供の結果とその別個の参加者(非関連者)を利するであろうMGCの活動の共同の経済的成果とを区別すべきであると主張している。当該役務から利益を得、その税控除が確実となることを望むロシアの納税者は、掘り下げた経済分析を行い、これら二つの区分を区別するよう努めなければならない。

株主活動の事例

本文書は、株主活動とみなされる機能は何なのか、以下のような具体的事例を挙げている。

  • MGC(または、その経営(例えば事業)部門及び/または、当該部門が所在する地域の開発戦略を詳述すること。
  • 計画された事業活動のために市場調査または分析を行うこと。

本文書は、MGCに属する現地の事業体(関連企業)により既に実行された活動と関連付けられたMGCの営業費(例えば、本事業体による商品の販売に関連した)は、関係した事業体(現地の関連事業体)によるものとみなされる、と明記している。しかしながら、現地市場に現れていない、新規事業活動及び/または新製品に関連する営業費は、MGCの経費として認められるべきである。

  • 戦略的計画及び予算編成
  • 財務又は経営連結決算報告の作成
  • MGCによりなされた投資の分析
  • 内部監査及び制御機能の実行、報告様式が株主によって規定された要件に適合しているかの監視、株主が所在する国において適用される法の遵守、MGCへの参加者(の関連会社)が、ロシア または外国の証券取引要件に適合しているか(当該証券取引が上場されている場合)の管理等、MGCの財務及び経済活動の管理 
  • 金融機関との関係に関するMGCの資金調達の管理、順位割当、MGCの外部資金調達コストの削減、利用可能な資金の有効活用、及び、MGCの財政面の安全性の保証 

同時に、金融グループの中心的商業活動(銀行、保険、投資銀行業務等)は、当該活動における株主の役割と査定される場合、考慮されるはずである。

  • MGCの一部である特定会社の商業活動の発展や歳入の増加を目的とする文書以外の、グループ基準、方法論、指針、またはその他の内部文書を精巧に作成
  • 当該基準、方法論、指針、または、その他の内部文書の実行
  • MGCの参加者(関連会社)の現在進行中の活動に関連のない投資計画等重要な決定、取引の承認

株主の費用に対する課税措置

本文書は、ロシアにおける税控除目的の株主活動において発生した費用は、ロシアの法的要件に従い、適切に文書化され、経済的に正当化されれば、ロシアの株主はこれらの費用の控除が可能であると言明している。同様に、国際MGCに属するロシアの納税者は、株主活動の実行と関連する外国株主の費用を相殺すべきではない。そのような相殺がなされた場合、当該費用は、ロシアの納税者にとって控除されないばかりか、個別の国境を越えた支払いを監査する税務当局が、当該支払いをロシアにおける源泉徴収税を課せられる受動的取得の配分とみなす可能性がある。

コメント

当該文書では、株主活動と決定するロシア税務当局のアプローチが明確化され、地方監督局に、グループ内役務提供の監査に対する統一した、矛盾のない方法を促す指針が記載されている。そして、これは、国際的慣行にも従うものである。

他方、本文書には、曖昧かつ一般的な規定も含まれている。従って、地方税務当局には、株主活動の基準を判断する際、かなり大きな裁量がある。結果として、経済的に正当化された費用が形式的基準では、控除されない可能性がある。

例えば、場合によっては、MGCは、市場で活動するいかなる第三者からも合理的に取得できないMGCの活動に関連した固有の知識や役務をその参加者に提供する可能性もある。

さらに、より一般的な納税者は、さらなる管理上の負担を負うかもしれない。なぜなら、第三者の役務提供者よりはむしろMGCの役務を受けていることを背景に経済的正当性を証明しなければならないからである。

本文書は、MGCの計画的(現在進行中ではない)事業活動に関連する費用は、非控除である旨明示している。しかしながら、実際のところ、当該計画的活動は、究極的には、特定の地方市場や当該市場で操業する事業体のためのものなのかもしれない。(例えば、ご当地商品の販売の場合)

さらに重要なことには、本文書におけるロシア税務当局の公式アプローチは、多くの場合において、MGCにおける費用の再請求の国際慣行と矛盾することになるであろう。これは、実際、グループにとって二重課税という結果となる。(なぜなら、外国の役務提供者は、ロシアの納税者によって控除されない役務提供から生じた収入と認識するからである。)

興味深いことに、ロシアの納税者が、明確化を何度も求めているにかかわらず、本文書は、グループ内役務提供に関する均等割当手段の使用が可能か否かについては沈黙を保っている。

対策

本文書は、ロシア税務当局が、次第に、グループ内役務提供費用、特に、外国のグループ企業から受けた役務の税控除を精査することを明示している。それゆえ、ロシアの納税者がこれらの費用を負担するなら、税控除目的の当該費用の非控除およびMGCにより発行された請求書の国境を越えた決済への潜在的源泉徴収税の適用の結果として生じる追徴税とともに、税務当局による税務監査の際、発覚した税金の過少支払いより生ずる過料、延滞利息の支払いを課されるリスクを冒す。

それはそれとして、このような国境を超えるグループ内役務から利益を得るロシアの納税者は、本文書に従い、株主活動に再限定がなされる可能性があることに留意して、提供される役務の範囲を検討し再考することが推奨される。

役務提供契約の両当事者及び内部的に現地納税者によって発行される文書を作成する際、当該役務の適切な記載に特に注意すべきである。(例えば、当該役務における納税者の経済的必要性、第三者の役務提供者よりもMGCのメンバーから役務提供を受ける理由を記載すること)

当該役務(すべてまたは部分的に)受動的収入の配当とみなされるリスクを評価することも推奨する。これは、現地で再請求される費用の範囲と性質並びにグループレベルでの形式化と処理を定義する際、ロシアの納税者とそのMGC間の交渉において重要な点となるであろう。

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